構造工学講座構造材料学分野
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丈夫で、美しく、長持ち 〜コンクリート構造物〜

 本研究室は、土木の分野において必要不可欠な構造用材料の特性とその利用法を研究対象としています。その中でも、土木構造物において最も広く用いられている材料であるコンクリート関する種々の研究を中心に行っており、『分子構造から土木構造まで』、すなわち材料としてのコンクリートから鉄筋・プレストレストコンクリートや合成構造など構造体としてのコンクリートまで、幅広い研究を行っているのが特徴です。また、コンクリート構造物の耐久性や健全度評価、損傷構造物の補修・補強、近年需要が増大しつつあるポリマー等の合成高分子材料やその他の新素材に関する研究も行っています。

 以下に主要な研究テーマを示し、簡単な解説を加えます。

図-1 鉄筋腐食を生じたRCはりの載荷実験の様子

 

図-2 硫酸劣化を受けた防食ライニングを有する

    コンクリートの電子顕微鏡(SEM)観察    

コンクリート構造物の性能照査型設計法に関する研究

 性能照査型設計法は、ある荷重や環境などの諸条件に応じて構造物の要求性能を設定し、構造物あるいは構造部材の保有性能が、それぞれの要求性能に対応する限界状態に、ある安全率をもって至らないようにすることを確認する設計法です。本研究では、コンクリート構造物の終局限界状態、使用限界状態、疲労限界状態ならびに耐久性上の限界状態に関して種々の検討を行うことで、コンクリート構造物のより高度かつ精緻な設計法の確立を目指します。図-1は、鉄筋腐食を生じたRCはりの載荷実験の様子で、耐荷性能に与える鉄筋腐食の影響を検討して、耐荷性能に関する耐久性能を明らかにします。


コンクリート構造部材の力学的諸特性に関する研究

 鉄筋コンクリート(RC)、プレストレストコンクリート(PC)をはじめとするコンクリート構造部材は、想定した荷重条件下で安全でなければなりません。とりわけ、地震時のような過大な外力に対しては、その外力エネルギーを吸収・消散できる粘り強さ(じん性)が必要とされます。本研究では、各種コンクリート構造部材の種々の荷重作用条件下での耐荷力、じん性やエネルギー消散などの塑性変形特性について検討しています。


コンクリート構造物の耐久性とシナリオデザインに関する研究

 コンクリート構造物の耐久性を低下させる要因に着目し、それらの劣化メカニズムの解明と数学モデルの構築を行うとともに、実環境暴露試験等を通じてそれらがコンクリート構造物・部材の諸特性に与える影響を検討します。さらに、劣化予測シミュレーション技術の向上、劣化メカニズムのモニタリングシステムの確立、コンクリート構造物の高耐久化のための手法などをあわせて検討し、コンクリート構造物の諸性能を時間軸に沿っていかに挙動させるか、というシナリオを描きます。図-2は、硫酸劣化を受けた防食ライニングを有するコンクリートの電子顕微鏡(SEM)観察の様子で、下水道施設などで硫酸劣化を受けるコンクリートの劣化メカニズムを明らかにします。


コンクリート構造物の健全度評価手法と維持管理技術に関する研究

 持続可能な発展をめざす社会においては、社会基盤コンクリート構造物の維持管理は必須の事項です。本研究では、劣化・損傷した既存コンクリート構造物の健全度を評価するシステムの開発および発展を目標とします。また、評価結果をうけてコンクリート構造物の耐久性、耐荷性の回復あるいは向上が必要と判定されると、補修・補強が適用されます。これら補修・補強の方法とその効果について検討するとともに、補修・補強材料あるいは工法選定のシステムの確立を目指します。図-3は、鉄筋腐食膨張圧によってコンクリートに生じる腐食ひび割れの数値解析シミュレーションの結果で、健全度評価や維持管理に役立てられます。


図-3 鉄筋腐食による腐食ひび割れの有限要素解析


コンクリートの性能改善および新素材の利用に関する研究

 高強度コンクリートや高強度鋼材の使用、じん性改善のための横拘束コンクリートの使用、耐久性改善のための各種混和材やポリマー等の合成高分子材料の使用など、コンクリートの性能を改善する種々の手法について検討します。また、腐食環境下での使用が注目されている繊維補強プラスチックや都市廃棄物を利用したセメントなどのエコマテリアルの土木構造物への適用に関しても検討を行います。

   Structural Materials Engineering, Kyoto University
This page last modified 2020/03/06
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